人事担当者が社会保険労務士を取得するメリット|働きながらでも遅くない

📌 この記事のポイント
- 社労士資格は、人事実務を支える法令知識の土台になり、社内への説明に納得感が生まれ、法的な観点で説明する不安が小さくなります
- 会社によっては資格手当・昇給などの処遇に反映され、転職市場でも専門性の証明として評価されます
- 第57回(令和7年度)試験の合格者の58.4%は会社員で、30歳代・40歳代が6割。働きながらの合格は珍しくありません
- 子育て中で1日10分しか勉強できない日があっても、過去問中心の積み上げで合格を目指せます(筆者の体験)
人事担当者が社労士資格を取得する4つのメリット
1. 実務の「なぜ」が分かる知識の土台ができる
人事・労務の仕事は、労働基準法・労働安全衛生法・雇用保険法・健康保険法・厚生年金保険法など、多くの法令の上に成り立っています。日々の手続きは前任者のやり方をなぞればこなせますが、「なぜこの手続きが必要なのか」「どの法令のどの規定に基づくのか」まで理解して仕事をしている人は多くありません。
社労士試験の学習範囲は、この人事・労務の実務を支える法令を体系的にカバーしています。学習を通じて、断片的だった実務知識が法令という幹につながります。イレギュラーなケースに出会ったときも、「どの法令を確認すればよいか」の見当がつくようになります。
2. 社内への説明に納得感が生まれ、法的な説明の不安がなくなる
人事担当者は、経営層や現場の管理職、従業員に対して制度やルールを説明する場面が数多くあります。「規程でそう決まっているからです」という説明と、「労働基準法第◯条にこう定められており、違反すると会社にこういうリスクがあります」という説明では、聞き手の納得感がまったく違います。
筆者自身、資格取得前は「この説明で法的に正しいのだろうか」という不安を抱えながら答える場面がありました。体系的に学んだあとは、根拠を示して説明できるようになり、この不安が大きく減りました。説明に自信が持てるようになると、経営層からの相談も増え、仕事の幅が広がります。
なお、確定的な判断が必要な個別のケースでは、資格の有無にかかわらず、労働局や年金事務所などの公的窓口や顧問の専門家に確認する姿勢は変わりません。「どこまで自分で判断してよく、どこから確認が必要か」の線引きができるようになることも、学習で得られる大きな成果です。
3. 資格手当・昇給など処遇に反映される場合がある
社労士は人事・労務の実務と直結する国家資格のため、会社によっては資格手当の支給対象になっていたり、昇給・昇格の評価要素になっていたりします。手当の有無や金額は会社の賃金規程によるため一概には言えませんが、まず自社の規程を確認してみてください。手当の定めがない会社でも、専門性の証明として人事評価の場面でプラスに働くことは十分にあります。
4. 転職市場でストロングポイントになる
人事・労務の求人では、実務経験に加えて社労士資格が歓迎要件や優遇条件として挙げられることがあります。全国の社労士登録者数は46,506人(令和7年8月31日現在)です。人事の実務経験者は多くても、「実務経験+社労士資格」を両方持つ人は限られるためです。資格そのものが内定を保証するわけではありませんが、労務分野の体系的な知識を客観的に証明できる材料として、キャリアの選択肢を広げる武器になります。
データで見る:社労士試験は「働きながら」の受験者が中心
「資格試験は学生や勉強に専念できる人のもの」というイメージがあるかもしれません。しかし社労士試験は違います。厚生労働省が公表した第57回(令和7年度)試験の合格者発表資料から、合格者の構成を見てみます。
合格者の約6割が会社員

合格者の職業別構成は、会社員が58.4%で最多です。公務員(11.7%)・団体職員(4.8%)・自営業(3.6%)・役員(2.8%)も合わせると、会社員を含む有職者が合格者の8割超(81.3%)を占めます。学生は1.1%にすぎません。社労士試験は、仕事と両立しながら挑戦する社会人が主役の試験だと分かります。
30歳代・40歳代の合格者が6割

年齢別では、30歳代(32.5%)と40歳代(27.5%)で全体の6割を占めます。50歳代も18.9%おり、最高齢の合格者は78歳です。社会人になってから、あるいは家庭を持ってからの挑戦が標準的なルートと言える構成です。「今からでは遅いのではないか」と迷っている人にとって、このデータは十分な後押しになるはずです。
筆者の体験:1日10分の日があっても、積み上げれば届く
筆者が学習を始めたとき、子どもはまだ小さく、まとまった勉強時間を確保するのは困難でした。1日10分しか勉強できない日も珍しくありませんでした。それでも学習を止めずに続けられたのは、「短い時間でも毎日積み上げる」ことだけをルールにしたからです。
⚠️ 合格までの期間には個人差があります
社労士試験の合格率は第57回(令和7年度)が5.5%、第56回(令和6年度)が6.9%と低く、1年で合格できるかどうかは学習環境や前提知識によって異なります。1年での合格が難しい人もいますが、学習で身につけた法令知識は合否にかかわらず人事の実務にそのまま活きます。
学習方法として筆者が重視したのは過去問です。社労士試験は出題範囲が広い一方、過去問で繰り返し問われてきた基本論点が数多くあります。筆者の経験では、過去問を徹底的にマスターして基本論点を確実に得点できるようにすることが、合格ラインに近づくいちばんの近道でした。テキストを完璧に読み込んでから問題を解くのではなく、過去問を軸に「問われる形」から知識を固めていく進め方です。
短い時間しか取れない日は過去問を数問だけ解く。時間が取れる日は苦手科目をまとめて復習する。この繰り返しでも、知識は確実に積み上がっていきます。そして仮に合格までに時間がかかったとしても、勉強で身につけた知識と「忙しくても学び続けた」という経験は、必ずその後の仕事に活きます。
筆者が使った教材:スキマ時間に強いスタディング
筆者はオンライン資格講座の「スタディング」を使って、スキマ時間中心で学習しました。大手の資格学校の講座も利用しましたが、比較したうえで筆者に最も合っていたのはスタディングでした。理由は次の2点です。
- 受講料が安い:筆者が受講した当時の比較では、大手資格学校の通学・通信講座より費用を大幅に抑えられました。
- 説明が分かりやすく、スマホで完結する:講義動画・テキスト・問題演習がすべてスマートフォンで完結するため、通勤時間や家事の合間の10分でも学習を進められます。「机に向かえる日しか勉強できない」状態にならないことが、子育て中の筆者には決定的に重要でした。
教材選びは学習スタイルとの相性によるので、通学して強制力を持たせたい人には資格学校が合う場合もあります。ただ、「まとまった時間が取れないから」と挑戦をあきらめかけている人には、スキマ時間で積み上げられるオンライン講座は有力な選択肢です。
まとめ:人事のキャリアに、いつ始めても遅くない投資
人事担当者が社労士資格を取得するメリットを整理します。
- 実務を支える法令知識が体系的に身につく
- 社内への説明に根拠と納得感が生まれ、法的な説明への不安が減る
- 会社によっては資格手当・昇給など処遇に反映される
- 転職市場で専門性の証明としてストロングポイントになる
そして公式データが示すとおり、合格者の中心は働きながら学ぶ30〜40歳代の会社員です。社会人になってからの挑戦は遅いどころか、それが標準です。1日10分の日があっても、過去問を軸にコツコツ積み上げれば、知識は確実に資産になります。まずは試験の概要を社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確認するところから始めてみてください。
出典・参考
- 厚生労働省「第57回社会保険労務士試験の合格者発表」(令和7年10月1日)(社会保険労務士試験オフィシャルサイト掲載) (2026-07-22確認)
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「合格発表」 (2026-07-22確認)
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト (2026-07-22確認)